相模湾における栄養塩類の分布と消長
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概要
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相模湾におけるケイ酸, リン酸, 硝酸の鉛直分布と季節変化について1993年から1994年にかけて調査した。栄養元素の相互の関係を調べてみると, 一つの直線(N : P)あるいは曲線(Si : N, Si : P)で回帰できた。これらの関係を過去の資料(15年前)と比較すると, いずれの成分の濃度範囲もまた組成比においても良い一致が見られた。このように変化が認められなかったことは, 湾内の水の滞留時間の短いことに由来するものと判断された。成層が発達している時期の有光層内の栄養塩濃度が, プランクトンの増殖の制限因子として働くまでに低下することもしばしば観測されたが, 珪藻の増殖にとって必須なケイ酸が他の元素よりも著しく低下することはなかった。従って現在も, 相模湾は珪藻生態系の存続・維持に適した状況にあるといえる。
- 公益社団法人日本水産学会の論文
- 2000-01-15
著者
-
前田 勝
東京水産大学海洋環境学科
-
前田 勝
東京水産大
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山田 佳昭
神奈川県水産総合研究所
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鎌谷 明善
東京水産大学海洋環境学科
-
奥 修
東京水産大学海洋環境学科
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辻 久恵
東京水産大学海洋環境学科
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山田 佳昭
神奈川県水技セ
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鎌谷 明善
東京水産大学
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