逆流性腎症の研究 : 臨床経過からみた腎障害の進展

概要

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(背景と目的)腎生検を施行した逆流性腎症(RN)について臨床経過を観察し増悪妻困を検討した。(対象と方法)95例(小児84,成人11,男子41,女子54,逆流は両側64,片側31,原発性85,続発性10)を対象とした。続発性逆流では基疾患解除後検討に加えられた。年齢は平均9.4歳,観察期間は平均3.7年。進行増悪中の3例では再生検が施行された。(結果)1)腎機能増悪群では瘤痕の新生,進行が多く(35%),非増悪群では少ない(6.0%)。2)癩痕b(Smenieの分類)は早晩瘤痕c(萎縮腎)に近づく危険性を秘めている。3)尿蛋白100mg/day以上の症例は不可逆性腎障害へ進行する危険性が高い。4)尿蛋白の増量と糸球体サイズの増大は並行している。5)増悪群の腎癩痕は両側共b以上で糸球体2SD以上の肥大を示す。6)高血圧は尿蛋白急増後に出現する。(結論)RNでは糸球体障害進行により尿蛋白が出現するが,尿蛋白100mg/dayは糸球体肥大2SDに相当する(p<0.01)。その後尿蛋白の急増,高血圧の出現と続き,末期腎不全に向かうと推定された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-05-20