浸潤性膀胱癌に対する集学的治療法の成績

概要

論文の詳細を見る
最近7年間の浸潤性膀胱癌に対する集学的治療法の成績をまとめた.治療の内容は,手術可能例では,手術療法を中心とし,多剤併用化学療法,放射線療法および非特異的免疫賦活療法を加味したものである.45症例中,26症例に手術療法として,膀胱全摘除術を施行し,8症例に膀胱部分切除術を施行した.他の11症例は手術不能又は術後の進行癌症例であった.今回は,これら症例の相対生存率を中心とした予後について報告した.(1)膀胱全摘除術症例:全症例の3および5年相対生存率は,それぞれ33%および25%であった.このうち,T2およびT3でNOかつMOの症例(15例)の3および5年相対生存率は,50%および39%であった.このうちdown stagingを示し,NOかつMOであった7症例の5年相対生存率は85%であった.(2)膀胱部分切除術症例:同様に良好な予後が認められた.8例中5例はNOかつMOでありこれらは,すべてdown stagingを示した.これらの症例は,1985年4月現在全例生存中であり平均観察期間は54カ月になる.手術不能の進行癌に対しては,主に多剤併用化学療法と,免疫賦活療法のみが施行されたが,生存率においては,ほとんど効果的ではなかった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文