審美矯正ワイヤに適したブラケットの試作

概要

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繊維強化プラスチック製審美矯正ワイヤ(以下, FRPワイヤ)への応力集中を軽減するために, 結紮線によるせん断力を支える台を設けたR0型, 曲率半径0.5, 1.0, 2.0mmの台をそれぞれ追加したR05, R1, R2型の4種類のブラケットを試作し, 片持ちばり曲げ試験で形状効果の評価を行った.破壊試験から, 試作ブラケットを用いた場合, ワイヤの破壊が開始する限界のたわみ量と荷重が増加し, 曲率半径が大きいほど増加した.また, ヒステリシス試験から, 試作ブラケットを用いた場合, 良好な弾性回復を示し, この傾向は曲率半径が大きくなるほど良好であった.また, 水中浸漬したワイヤを用いた場合には, より顕著であった.以上の結果から歯の幅径にみあう大きさでかつ応力集中を軽減できる形状の改良型ブラケットを試作した.改良型ブラケットの形状効果を評価するため, 実際の臨床に近い5箇所結紮歯列弓状曲げ試験を行ったところ, 良好な弾性回腹が認められ, さらに, 応力緩和試験では急激な荷重降下は生じず, 長時間荷重を保持した.以上より, FRPワイヤを臨床応用する上で試作改良型ブラケットは有効な手段の一つであると示唆された.
日本歯科理工学会の論文
2000-11-25