並列オブジェクト協調記述言語Produce/1の実装
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
現在の並列オブジェクト指向言語は、オブジェクト間の協調動作を明示的に表現する手段を持っていない。そのため、オブジェクト指向で記述するとシステム全体がどのように動作するのか理解しづらいという問題が指摘されている。我々は、オブジェクト間の協調動作に関わるこのような問題を解決する1つの方法として、「プロデューサモデル」とそれを記述するための言語Produce/1を提案しているが、今回その処理系を開発した。 Produce/1の処理系は、Solaris2.3上で稼働するC++言語(プラスSolaris2.3マルチスレッドライプラリ呼び出し)へのトランスレータであり、C++言語とlex/yaccにより配述されている。アクタモデルでは、各オブジェクト群が「ネットワークトボロジの組み立てのための計算」と「メッセージ通信とそれに関わるオブジェクト内計算」を同じ枠組の中で行っていたため、システム全体の動作が理解しづらくなっていた。それに対し、Produce/1では、これら2つの計算を明確に分離して2階層の並列化を実現し、それぞれをプロデューサ・オブジェクトと俳優オブジェクトに役割分担させている。アクタモデルが「メッセージgoto文しかない計算モデル」だとすると、Produce/1は「メッセージトボロジが構造化された計算モデル」と考えることができる。通常の並列オブジェクト指向言語の処理系ではオブジェクト単位にスレッドを割り付けるのが一般的であるが、Produce/1の処理系では、「ボートメソッドが送信と受信の2つに明確に区分されている」 「ネットワークトボロジの組み立てと実際のメッセージ発火が別々になっている」という言語仕様上の特長を生かして、送信/受信ボートメソッド単位にスレッドを割り付けている。そのため、粒度の細かい並列性が実現されている。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1996-01-26
著者
-
久野 靖
筑波大学経営政策科学研究科企業科学専攻
-
鵜林 尚靖
(株)東芝:東大
-
鵜林 尚靖
筑波大学経営・政策科学研究科経営システム科学専攻
-
大木 敦雄
筑波大学経営・政策科学研究科経営システム科学専攻
-
大木 敦雄
筑波大学大学院ビジネス科学研究科
-
久野 靖
筑波大 大学院ビジネス科学研究科
関連論文
- モデル検査を用いた通信プロトコル二重化の検証(プロトコル,インターネット技術とその応用論文)
- モデル検査を用いた通信プロトコル二重化の設計と検証(インターネットアーキテクチャ,一般,インターネットセキュリティ,一般)
- Nuts : ホワイトボックスコンポーネントアーキテクチャ
- ベクターコンポーネント : コンポーネント結合による差分プログラミング
- Nuts-柔軟な部品間結合をサポートするコンポーネントアーキテクチャ
- 分散仮想マシンを用いたオブジェクト指向プログラミング環境
- 1.情報科学教育の重要性と情報処理学会の活動(未来のコンピュータ好きを育てる)
- ペンコンピュータのUnix
- 「アイコン投げ」ユーザインタフェース ( インタラクティブソフトウェア)
- キーボードによる窓操作機構の作成と評価
- WWWを環境を利用したビジネスゲーム開発ツール
- モデル検査を用いた通信プロトコル二重化の設計と検証(インターネットアーキテクチャ,一般,インターネットセキュリティ,一般)
- 抽象状態同期による高機能ロックの実装と評価
- オブジェクト間の協調動作を表現する並列計算モデルと言語
- 対称型メッセージ送信とその実装
- パターン指向オブジェクト間協調計算モデルについて
- 並列オブジェクト協調記述言語Produce/1の実装
- パタ-ン指向オブジェクト間協調計算モデルについて
- オブジェクト間協調動作表現モデルの提案 : 「プロデューサモデル」とその記述言語について
- 中学校における自律型制御ロボット教材の評価と授業〜新学習指導要領の「計測・制御」授業に向けて〜
- 近傍オブジェクトモデル(コンテンツネットワーク)(インターネットアーキテクチャ技術論文)
- 分散指向言語におけるオブジェクト外部情報の利用
- 分散オブジェクト指向言語の設計と実装
- ロール概念に基づく発展型移動エージェント
- システム運用時に発生する障害の再発防止策の適用方法に関する提案
- ペンコンピュータのUnix
- スレッドライブラリへの抽象状態同期の導入
- 抽象状態に基づく並列オブジェクト指向言語p6
- プロトタイプ階層を持つ教育用オブジェクト指向言語「ドリトル」
- 特集「新しいアーキテクチャに基づくコンパイラ技術」の編集にあたって
- 高校情報科におけるネットワーク教育の内容と構成
- 言語研究者の「理想と現実」 (lt討論会gtさまざまなソフトウェア開発文明)
- 状態抽象 : モジュール化のもう1つの可能性
- 静的型検査を行なうオブジェクト指向言語Mistyにおける動的な型の扱い (オブジェクト指向研究会から)
- 新しいアーキテクチャとコンパイラ技術 (新しいアーキテクチャに基づくコンパイラ技術)
- 多重継承と強い型付けを持つオブジェクト指向言語Misty
- 4. 新しい技術の応用 4.1 新しいプログラマ・インタフェースの利用 (<大特集>新しいプログラミング環境)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- TK-7-5 高校教科「情報」におけるコミュニケーションの扱い(TK-7.楽しい学び実現?-高校生の意欲向上目指して-,大会企画シンポジウム,大会委員会企画)
- 試作教科書活動と「次期」高校情報教育の内容提案(ぺた語義)
- 自律型ロボット教材の評価と授業
- 高校教科「情報」のこれまでとこれから(前) (ぺた語義(第1回))
- 高校教科「情報」のこれまでとこれから(後) (ぺた語義(第2回))
- 状態遷移概念を利用した制御プログラミングの学習効果
- コンピュータサイエンスアンプラグドに基づく授業方法改善の試みとその実践
- OTCデリバティブ商品定義を目的としたドメイン特化言語の開発と評価
- システム運用障害を防止するための運用手順書へのSPINの適用
- 情報教育と情報入試:9.あなたにとって「情報」って入試科目ですか?
- 公立小学校の課外活動における非専門家によるプログラミング教育