不妊女性の経験するネガティブサポートに関する質的研究

概要

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不妊治療を受ける女性(以下不妊女性)は,多様なストレスを経験し社会的支援を必要とする人々であると考えられるが,現実には周囲の人々からの不適切な支援を経験している。本研究では「支援の意図が存在するが否定的な結果をもたらす行為」を「ネガティブサポート」と定義し,不妊女性が周囲の人々から受けたネガティブサポートの事例を取り上げ,支援を意図した行動がなぜ不妊女性に否定的に受け取られてしまうのか,その要因の探索を試みた。不妊を理由に医療を受ける首都圏在住の女性24名を対象に,半構造化面接を実施し内容を分析した結果,周囲の人々からの支援行動を不妊女性が否定的に受け止める要因として,(1)不妊に対する因習的価値観,(2)不妊体験のない相手,(3)妊孕性の優劣,(4)治療経過に伴う心理状態と支援内容との不一致,(5)支援行動の過剰の5つのカテゴリーが抽出された。結果から,不妊女性たちが適切な支援を提供されるためには,周囲の人々が,不妊女性の心情やニーズを適切に理解した上で支援行動をとることの必要性が示唆された。そしてこの理解を促すことが,医療者,専門家に求められる重要な役割の1つであると考えられた。