エレクトロクロマトスキャン法による食品中のカテコールアミンの分離定量(<特集>バイオアナリティカルケミストリー)
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概要
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新しく開発されたエレクトロクロマトスキャン法の天然サンプル分析への応用として,食品中に含まれているカテコールアミンの分離・定量方法を検討した.試料中の有機物を分離する方法として,HPLCなど正確でかつ迅速分離できる方法が既に実用化されているが,それらの設備や計器にかかる費用はかなり大きなものである.そこで手軽で費用がかからないペーパークロマトグラフィーを分離に用い,更にその定量に〓紙層電気分析法を用いて両方の利点を取り入れるものとしてエレクトロクロマトスキャニングセルが開発された.エレクトロクロマトスキャン法のカテコールアミン分析への適応性を調べたところ,ドーパミン塩酸塩に対して設定電位+0.55V vs. SSEで,40〜1900mg/lの広い濃度範囲で原点を通る検量線が得られ,又他のカテコールアミンでも良好な検量線が得られた.次にトリクロロ酢酸とクロロホルムを用いて,バナナ中からカテコールアミン類を振り混ぜ抽出し,そこヘドーパミン塩酸塩を標準添加してエレクトロクロマトスキャン法により分析した結果,R_f=0.74の位置に標準添加した量に比例した定量ピークが得られた.しかし,ペーパークロマトグラフィーによる展開の段階でドーパミンが他の物質と完全に分離されずR_f=0.68〜0.84の間にピークが集まったため,その定量値(591ppm)はバナナ果肉部含有量(文献値82ppm)よりもはるかに大きいものとなった.このため,アンバーライトの陽イオン交換樹脂(CG-50)を充てんしたカラムを用いて妨害物質を除いた後,エレクトロクロマトスキャン法により分析した結果,定量値は86.1ppm となり文献値に近い値となった.この結果,カラムを使用することにより,エレクトロクロマトスキャン法による食品中のカテコールアミンの分離・定量分析が可能であることが分かった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1989-11-05
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