オキシンによる金属イオンのテンサンメトリー滴定
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概要
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オキシン (oxine; 8-hydroxyquinoline) は酢酸アンモニウム緩衝溶液中で滴下水銀電極の正分極電位領域において二つの交流波を生ずる.その第1波はオキシンと溶出水銀イオンとの反応に基づく移行波であり,第2波は純然たるテンサンメトリー的過程に基づく交流波である.この第2波は感度が高く3×10<SUP>-6</SUP><I>M</I> 以上で再現性よく観察され, 3×10<SUP>-6</SUP>〜3×10<SUP>-5</SUP><I>M</I> の濃度範囲で波高と濃度との間に比例性が認められた.また,この波はオキシンとキレートを生成する金属イオンの添加により定量的に波高が減少することから,この第2波を追跡することにより金属イオンの滴定の終点決定が可能である.本報はこのような正電位領域におけるオキシンの交流ポーラログラフ的挙動ならびにテンサンメトリー滴定の応用について基礎的に検討したものであるが,その結果Cu<SUP>2+</SUP>, Zn<SUP>2+</SUP>, Ni<SUP>2+</SUP>, Fe<SUP>3+</SUP>, In<SUP>3+</SUP>, U<SUP>4+</SUP>,Mo<SUP>6+</SUP>などの金属イオンの滴定が10<SUP>-5</SUP>〜10<SUP>-6</SUP><I>M</I> といった低濃度において可能であり,その際2×10<SUP>-5</SUP><I>M</I>のCu<SUP>2+</SUP>,Zn<SUP>2+</SUP>について±2%以内という滴定精度が得られることが明らかとなった.
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