液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法による河川水及び下水放流水中の17β-エストラジオール分析法の開発

概要

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高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC/MS/MS)による環境中の17β-エストラジオール, エストロン及びエストリオールの同時分析法を開発した. この方法は環境水質試料を固相抽出(SPE)カートリッジで抽出し, ネガティブエレクトロイオンスプレーモードでLC/MS/MSによりマルチプルリアクションモニターモードで測定するものである. 内標準物質として同位体ラベル化した17β-エストラジオールを用いた. 検量線は0.4〜80ng/lの濃度範囲で良い直線性を示した(相目関係数0.995以上). 検出限界値(LOD)は0.3ng/lで, 添加回収試験において回収率は65.9〜96.9%, 相対標準偏差(RSD)はそれぞれ添加濃度0.4 ng/lで5.8〜11.1%,0.8 ng/lで8.1〜11.8%,1.6 ng/lで4.2〜12.6%であった. 本法を用いた環境水中17β-エストラジオールの測定を九州の一級河川である筑後川について行った. その結果, ほとんどの地点で検出限界以下であった. しかし, 下水処理場放流口付近からは17β-エストラジオールが0.5〜4.2,エストロンは5.3〜35.1 ng/l検出された一方, 同試料を酵素抗体法(ELISA法)で17β-エストラジオール測定を行うと, LC/MS/MSで測定した値の6.0〜13.5倍高い値を示した. これはELISAの交差反応によるものと考えられた.
2000-11-05