関数型言語の並列実行環境

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数学的な関数の概念に基づいた関数型言語は,その参照透明性という性質から,プログラムに内在する並列性を利用して並列処理プログラムを容易に導出することができる.また,セマンティクスが単純明快であることから,プログラムの機械的な変換や検証を行うのに適しており,プログラム記述も簡潔であるなど,数多くの有利な性質を備えている.関数型言語はこれまで数多く提案されてきたが,現在のところ従来型言語ほど普及していない.その一因として,現行の計算機上に実装した処理系ではプログラムが文字列やグラフの形で保持されており,それを実行時に複写したり部分的に更新したりしながら解釈して計算を進めていくため,実行効率が良くない,という点を挙げることができる.したがって,関数型言語を実用的に使っていくためには,効率のよい処理系が必要である.我々の研究室では,関数型言語Validを密結合型マルチプロセッサ・システムで効率よく並列実行するための技術を開発している.本方式ではコンパイル段階において,ソースプログラムからデータフロー・グラフを作成し,データ依存関係がなく並列実行可能な関数適用を抽出する.さらに,この関数適用を単位として,fork/join型のプロセス生成を行うようなコードを生成する.本稿では,このように生成されたコードを並列実行するための実行環境について述べる.
社団法人情報処理学会の論文
1992-02-24

関数型言語の並列実行環境

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