新聞記事の関連付けと可視化のための一手法

概要

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本論文では,新聞記事のように互いに関連性が深く,時間の経過に対して話題が移り変わっていくようなテキストに対して,これらを話題に応じて関連付け,ユーザにわかりやすく表示する手法について述べる.テキストの関連付けと表示に関して,例えば,Net-Newsの世界では,記事を階層的に表示するニュースリーダがよく用いられている.従来のリーダでは,関連した一連の記事は,スレッドと呼ばれる階層を持ったクラスタの集合として分類されている.このような手法を,新聞記事の関連付けと可視化に用いる場合,次のような問題点がある. 1.従来のニュースリーダの場合,記事をポストする際に,新たな話題の記事なのか,特定の記事に関する返信なのかを指定するため,記事間の関係は陽に記述されている. 2.スレッドの中でどのような話題が述べられているのかを把握するのが困難である. 上で述べた問題点について,本論文では,以下のような手法を用いる.まず,記事間の関係を,各記事のタイトルに含まれる単語の共起関係を用いて計算する.単純に単語の重なりだけを考慮した関連付けを行なうと瞹昧さが大きいため,スレッド全体の話題,各記事の主題との関連性,時間的な関連性を考慮した関連付けを行なう.また,スレッドを表示する際に,関連性を計算する際に得られた話題や各記事の主題を表す単語を用いて,スレッドの内容を可視化する.記事間の関連性の計算においては,それぞれの記事のタイトル中の単語を用いる.理想的には,記事のタイトルには,その記事が,これまでに報道されたどんな話題に関するものかという情報と,その記事が,その話題に対しどのような情報を新たに追加するのかという主題を含むと考えられる.これらを示す単語をそれぞれ,話題キーワード,主題キーワードと呼ぶ.例えば,記事1,2,3が以下のようなキーワードを含んでいるとする. 記事1: 話題KW1, 話題KW2, 主題KW1, 主題KW2, … 記事2: 話題KW1, 話題KW2, 主題KW1, 主題KW3, … 記事3: 話題KW2, 話題KW3, 主題KW2, 主題KW4, … 話題KWは,スレッドを構成するような各記事に共通する話題に関する単語である.各記事には,その他に,その記事が伝えたい新たな情報が含まれているはずであり,それらが主題KWである.上の例では,記事2は,記事1の主題KW1に関連し,記事3は,記事1の主題KW2に関連している.このように,タイトル中の単語から,複数の記事を話題の移り変わりに沿って関連付けるのが本論文の目的である.
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-09-04

著者

浦本直彦
日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所

新聞記事の関連付けと可視化のための一手法

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