マルチコーパスを利用した多段用例翻訳方式

概要

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本稿では、「会話文」や「電子メール」など、論文やマニュアルに比べて、人間の感情や意志表現を多く含む文を対象にした日英用例翻訳システムの構築について論じる。用例翻訳では、一つの入力文に対し、一つのコーパスの中から、一つの類似用例を検索することを基本とするものが多い。それに対し、本システムでは、「辞」「述語をもつ詞」「述語をもたない詞」のそれぞれのレベルに固有のコーパスと類似評価法を用意し、一つの入力文に対し、複数の用例を適用する「多段用例翻訳方式」を提案する。これらのコーパスは構文解析済みの対訳コーパスで、状況によっても分類されており、状況によってどのコーパスから類似文検索するかを選択できる。類似文検索は、入力文の木とコーパスの木の間の「共通木」と「差分木」に重みをつける方法を用いるが、重みの付け方はどのレベルのコーパスを検索するかに依存する。また、用例翻訳では、二言語間の表現の対応づけが一つの問題となっているが、本稿では、一つの入力文に対し、日本語文の差分と英語文の差分の対応がとれるように二対の対訳用例を検索し、それらの目的言語側の二つの木の間で「共通木」と「差分木」をとる方法について述べる。
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-09-04

マルチコーパスを利用した多段用例翻訳方式

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