認知的な形状-機能対を仮設した意義素に関する考察

概要

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計算機による意味理解で問題となるのは、事物の捉え方をどのように記号化していくかということである。すなわち、構文解析後、もしくは解析中に話者がおかれた場面を推定する処理が必要であり、特に「もの」の形のあり方は比喩理解などに必要である。話者にとっての「ものの形」は実体的な形状だけではない。たとえば「穴」のような図と地の関係が存在するだけで実際には「もの」が存在しない場合や、「まわる」など動的概念の軌跡表現の変化の過程を形状として取り上げるような場合には実体の形状は存在しない。我々は「転がる」に対して滑らかな回転体を想起する。「さいころが転がる」と言った時、実際の事物は立方体なのだが、物が「転がる」のイメージは図1[figure]のようなものである。これは話者が対象の形を捉える時、さいころの物理的実体を見ているのではなく、「円状に回転している姿が見えた」ということを示している。このように話者と事物の相対的な関係によって共起する「ものの形」の認識を認知的形状と考えることにする。ここでは語の弁別のための意義素の構成法として形状と機能に着目した概念オブジェクトによる方法を提案する。概念オブジェクトは認知的形状と物体の機能を説明する動詞概念からなる制約であり、形状と機能の共起概念対である。これは「もの」の分析的な概念関係を示すのではなく、多面的、総体的な捉え方を導入するようなものである。これは事物の能力の把握を目的にした意味マーカーの補強と考えてもよい。
1994-09-20

認知的な形状-機能対を仮設した意義素に関する考察

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