骨の健康状態とビタミンB_<12>

概要

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骨粗鬆症とそれによる骨折は公衆衛生上重要な問題となっている. これまでは, カルシウムとビタミンDに関心が集中していたが, 最近その他の栄養素が骨の健康状態に及ぼす影響について関心が高まり, 研究成果も蓄積されつつある. 本稿では特にビタミンB_<12>(B_<12>)の栄養状態と骨の健康状態の関連性について焦点をあてた. B_<12>は主に動物性食品に含まれているためマクロビィオティクス食や菜食主義ではB_<12>欠乏症を誘発し易いことが知られており, マクロビィオティクス食の若者や菜食主義の女性に骨の質量や無機質密度の低下が報告されている. また, 1950〜1979年の間に悪性貧血と診断された131人において, 大腿骨基部, 脊柱骨, 前腕末端部の骨折が正常な人と比べそれぞれ1.9倍, 1.8倍, 2.9倍起こりやすいことが報告されているが, これら悪性貧血患者にB_<12>を投与したところ骨形成マーカーの増加が示され, 骨の無機質密度の改善が認められた. インビトロの実験系においてB_<12>は骨芽細胞の活性と増殖を顕著に促進し, またB_<12>欠乏症患者にB_<12>投与すると骨芽細胞に顕著な活性(オステオカルシンとアルカリホスファターゼ)の促進が報告されている.
日本ビタミン学会の論文
2004-09-25