可変帯域リンクをもつネットワークの経路制御安定性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
計算機ネットワークは、これまで専用線などの固定帯域リンクによって構成されてきた。一方で、ATM(Asyncronous Transfer Mode)やISDN逆多重化装置など動的に帯域を変更可能な広帯域通信技術が実現されつつある。計算機ネットワークを動的に帯域を変更可能なリンク(可変帯域リンク)と固定帯域リンクによって構成することで、1.経済的なネットワーク設計が可能となる。2.輻輳や利用率の変化に短時間で対応できる。まず1はトラヒックの時間変動の大きいリンクに可変帯域リンクを用いることで経済性を向上できるということである。次に2について説明する。通常、ネットワークの設計時にデータとして用いるトラヒックと実際のトラヒックは時間によって異なり、ネットワークのスループットを向上させるためにトラヒック状態に応じて経路を変更するIGRPなどの適応経路制御技術が用いられている。しかし、ネットワークが大規模である場合、短時間で経路を変更することは困難であり、更新されるまでの間、十分なスループットや遅延時間などの通信品質が得られない。この更新期間中、可変帯域リンクで動的に帯域を確保することで、十分な通信品質を得ることができる。可変帯域リンクを含むネットワークを実現するためにA 可変帯域リンクの配置方法(ネットワーク設計)。B 可変帯域リンクと固定帯域リンクという経済的要求からくる経路選択上異なった優先性を持つリンクを含むネットワークの経路選択方法。が必要である。このうちBについて考える。現在の最短経路を用いる経路選択技術を用いた場合、可変帯域リンクの距離は最大帯域をもとにしたものとなるために、固定帯域リンクからなる別の経路が存在すると、可変帯域リンクにトラヒックが集まってしまう。このように、可変帯域リンクの利用は、現在の経路選択アルゴリズムでは、かえって非経済的な経路が選択され、可変帯域リンクの性質を十分に生かす経路選択方法が存在しない。また、適応経路制御では、経路選択の結果がトラヒックを変化させ、このトラヒック変化がリンク距離として経路選択に用いられるというフィードバックが生じ、経路が不安定になる場合があるが、動的に帯域が変化することでリンク距離の計算に用いられる帯域の情報が変化すると、経路選択、トラヒック、帯域の3者の相互作用で経路の安定度が問題と獲る。本報告では、帯域を常時接続されている帯域と動的に確保された帯域に区別した情報をもとにするリンク距離計算方法を提案する。そして、可変帯域リンクを用いたときに問題が発生する最も簡単な場合として可変帯域リンクを含む経路と固定帯域リンクのみの経路の2つの経路が存在するようなリング・ネットワークでの安定性について検討を行ない、従来技術と比較して、経済性から決まる優先度に応じた経路選択が安定に行なわれることをシミュレーションによって明らかにする。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07
著者
関連論文
- B-7-99 レイヤ2スイッチによるMANサービスにおけるユーザへの情報提示についての考察
- B-7-98 レイヤ2ネットワークにおける障害および設定変更時のウーザへの影響に関する検討
- Transit-Rateに基づくフロー集約を用いたQoS保証フレームワークの評価
- Transit-Rateに基づくフロー管理を用いたスケーラブルなQoS保証フレームワーク
- Transit-Rateに基づくフロー管理を用いたスケーラブルなQoS保証フレームワーク
- Lazy-group replicationにおけるビュー最新度制御分散アルゴリズム
- 複製データのビュー最新度制御方法およびスケーラビリティに関する評価
- 複製データのビュー最新度制御方法およびスケーラビリティに関する評価
- 更新経路の相違に基づく統計的データ・レプリケーション方法
- 可変帯域リンクをもつネットワークの経路制御安定性
- 公開鍵ベースケルベロス認証サービスにおけるサービスチケット失効リストの分散管理法の提案
- 統計的手法による弱一貫性データの複製制御方法
- ISDNを用いた高精度時計同期方法
- ISDNを用いた広域時計同期システム (特集 リアルタイム並列分散処理技術)
- ISDN時計同期システムのための統計的手法を用いた時計同期方法
- ISDNを用いた分散高精度時刻同期プロトコルとNTPの統合
- 高速ディジタル網を用いたクロック周波数同期
- うるう秒処理を含めた分散高精度時刻同期のための計算機時計システムの構成
- 高速デジタル網を用いた分散高精度時刻/周波数同期
- ISDN網を用いた分散高精度時刻/周波数同期
- 可変帯域リンクをもつネットワークの経路制御
- 分散トランザクション処理に適したダイアログ制御の記述法
- 要求頻度の偏りを考慮したスケーラビリティと負荷の平準化を両立する負荷分散手法の検討(情報家電ネットワーク,ホームネットワーク,スマートグリッド,省エネルギ-,M2M,Participatory Sensing,モバイルネットワーク,ユビキタスネットワーク,及び一般)
- 要求頻度の偏りを考慮したスケーラビリティと負荷の平準化を両立する負荷分散手法の検討