DL-リジンのラウリルエステルの抗菌活性 J. Ferment. Technol., 54,p, 369〜373,1976
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概要
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目的 : 従来あまり報告のないアミノ酸のアルキルエステルの抗菌性を調べること.方法 : (a), 抗菌力測定 : Staphylococcus aureus FDA 209p, Escherichia coli NiHJ, Pseudomonas aeruginosa AJ 2116 (ATCC 10145)の3菌株に対する抗菌力をハート・インフュジョン寒天培地を用いた観点平板法で調べた.(b), S. aureusの増殖に及ぼすリジンラウリルエステルの影響 : ハート・インフュジョンブロスにS. aureusを増殖させ, リジンラウリルエステルを, 1 MIC濃度を中心に添加し, 生菌数の変化を継時的に調べた.(c), リジンラルリルエステルを作用させたP. aeruginosa菌体より, OD_<260nm>吸収物質, タンパク質の漏出の測定 : P. aeruginosaのリン酸バッファー懸濁液に, リジンラウリルエステルを作用させ, 継時的に試料を遠沈し, その上澄液中の, OD_<260nm>の吸光度, タンパク質の濃度を測定した.結果 : 1)アミノ酸のアルキルエステルのアルキル鎖と抗菌性の関係を, スレオニンのアルキルエステルを使って調べたところ, 炭素数12で最も強い抗菌力が認められた.2)炭素数12のラウリルエステルについて各種アミノ酸化合物の抗菌性を調べたところ, 中性アミノ酸のエステルは, S. aureusに対し, MICは6.25 μg/mlであるが, E. coliや, P. aeruginosaに対しては, 抗菌力が認められなかったのに対し, リジン, アルギニンなどの塩基性アミノ酸のアウリルエステルは、S. aureusのみならず, E. coliや, P. aeruginosaにも有効であった.測定したうちでは, リジンのラウリルエステルが最もすぐれていた.そのMICはS. aureus 6.25 μg/ml, E. coli 12.5 μg/ml, P. aeruginosa 100 μg/mlであった.3)N-ラウロイル-リジン, リジンラウリルエステル, リジンラウリルアミドの各種リジンのアルキル誘導体の抗菌力を比較したところ, リジンのラウリルエステルの抗菌力が最もすぐれていた.4)リジンラウリルエステルは, S. aureusに対し, 1/2 MIC濃度(3.13 μg/ml)でも殺菌的に作用した.5)P. aeruginosaのリン酸バッファー懸濁液に, リジンラウリルエステルを作用させると, すみやかに, OD_<260nm>吸収物質およびタンパク質が漏出する.他方この場合は, フェニルアラニンラウリルエステルを作用させても, 漏出はみられず, 本菌に対する抗菌力試験の結果と一致した.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1976-06-25
著者
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滝波 弘一
味の素中研
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水野 宏
味の素中研
-
目黒 隆
味の素株式会社 中央研究所
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滝波 弘一
味の素株式会社中央研究所
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中宮 光顕
味の素株式会社 中央研究所
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水野 宏
味の素株式会社 中央研究所
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漁野 宏和
味の素株式会社 中央研究所
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