横圧縮変形をうけたワイヤロープの内, 外部素線の強度について

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この研究は, ロープが荷重圧縮変形をうけたとき, その個所の内・外部素線の引張強度の変化を調べたものであり, ロープの非破壊試験法への手掛りを目的としている。筆者がこの試験のため採用した測定条件・方法は次のとおりである。すなわち, 1. 測定ロープ : 普通撚り6×19 φ 9 m/m, 12 m/m 6×24 φ 10 m/m, 12 m/m 2. 測定素線は, AD, ID(1), ID(2)の3種で, 荷重Tに応じて圧縮変形されたロープから素線(1) ロープ間の荷重圧縮(2) 荷重範囲 T=0.5〜3.5 ton(3) ロープの交叉角α=30°, 45°, 90°, (Fig. 1)4. 外部変形と内部素線の関係を表示する手段として, 素線の接触率ηを導入した。すなわち, n=n_T/N_Tここに, n_T : 圧縮荷重Tにより発生した永久変形(キズ)の総数N_T : 圧縮荷重Tにより永久変形をうけた素線の総数η : 素線1本当りの永久変形個数5. 試験の結果, つぎのことがわかった。(1) ηは, 荷重Tの増大と共に大きくなり, またα=0°で最小, α=90°で最も大きくなると考えられる。(2) 外部素線ADの強度は, Tと共にかなり早く低下していくのに対し, 外観的に変形をうけたロープでも, 内部素数IDの強度は, ADのそれに較べて, 極めて緩慢にしか低下しない。しかし, IDが外部に露出してくるような状態のとき, IDの強度は早く低下しはじめる。(3) ηの大きさと, 内・外部素線の強度には, 有意な関係がみとめられる。 (4) 素線破断部分の写真判定では, η>1の場合の破断は, その最大永久変形の部分で起こる。などである。
1963-07-25

著者

岩川治
静岡大学農学部

横圧縮変形をうけたワイヤロープの内, 外部素線の強度について

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