マツカレハの死亡要因としてのオオカマキリ
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概要
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オオカマキリはマツカレハの死亡要因の一つであるが, その密度はマツカレハ密度とは無関係に決定されているように思われる。したがって, 最初にオオカマキリの個体群動態を調べ, 次いでマツカレハ個体群に与える影響をマツ造林地で調査した。オオカマキリの若齢幼虫時に分散および高率な死亡がみられた。その死亡は共食いとアリやクモなどによる捕食によると考えられた。成虫の個体数は1齢幼虫時の個体数の多少にかかわらず低い密度に決定された。卵塊やふ化幼虫は集中分布を示したが, 6〜7月に一様分布に変わった。オオカマキリは餌不足な条件下で, マツカレハの高密度な集団に対して数の反応を呈した。オオカマキリは給餌されたマツカレハの3齢幼虫を2,3分で1頭捕食するが, 野外では1日に1頭以下しか捕食しない。この理由はマツカレハの摂食行動とオオカマキリの餌探索行動から説明される。捕食の対象となる幼虫期間は1月間以上あり, この期間にかなりの幼虫が捕食されると思われるが, その死亡は密度に依存しないものである。
- 日本森林学会の論文
- 1978-04-25
著者
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