林道の路側条件が車両の走行性に及ぼす影響(I)
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概要
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林道構造の設計段階で重要な因子となる設計標準車両の確認と, それの走行挙動をもとに林道の横断面形の標準モデルを見出すため以下の調査をした。調査は500ないし1700haの森林利用面積を有する林道上の一般交通車両の走行状態を, 車種別, 路側条件別に, 交通頻度, 走行速度, 走行軌跡等を観測し, 5,776トリップの測定値を得た。1968年中の交通量は56.4±18.7台/年・haであった。車両の大きさ別頻度は, 小型車45.1%, 中型車40.2%, 大型車14.7%であった。また, 車両の走行目的別走行頻度は, 育林作業のため25%, 伐木集運材作業のため27%, トラック運材16%, 森林土木工事のため17%, 山村生活のため7%, 管理・巡視等のため6%, レクリエーション等のため2%であった。これらの車両が林道上を走行する場合, その種々の交通挙動は大きくわけて, その林道の幾何構造によって規制される車両の進行方向の挙動と, 道路の路側条件等による横方向の心理上の拘束による挙動とが考えられる。山岳地の林道においては, 一般道路に比して横方向の路側条件による車両の走行への影響は大きい。そこで路側条件の交通に及ぼす影響を, 一般の交通車両の走行挙動をもとに路側条件が土羽, 切土, コンクリートの場合について分析した。今回の調査から以下のことが言えよう。(1)既設林道の交通内容は, 運材車を主とする大型車が15%, そして, 人員・資材の輸送用の中・小型車両が85%を占めている。この車両の大小は路側条件の影響を受ける度合が異なる。(2)一般に幅員の狭い林道では, 路側条件および路端条件は, 車両の走行速度の決定に, 道路の幾何構造の構成要素である線形, 視距等と同程度の影響力がある。(3)各路側条件によって, 車両の通過軌跡に差異がある。これらをもとに路側条件別に幅員の拡幅量を推定することが可能であろう。
- 日本森林学会の論文
- 1970-04-25
著者
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