北海道のミズナラにおける葉および堅果の形質の反復率と地理的変異
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概要
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ミズナラにおける葉や堅果の諸形質の遺伝性を明らかにするために, 北海道内各地から収集され, つぎ木で増殖されたクローンを用いて, 各形質の反復率(クローン間分散/全分散)を求めた。また, 供試クローンの産地を北海道中央部で東西に二分し, 各形質について東西地域間の比較を行った。葉の11形質の反復率は, 0.075〜0.279となり, 全体的に既往の報告に比べ低かった。これは, 材料をクローン化し同一場所に植栽することで, クローン間分散と環境分散を完全に分離できたためと考えられる。堅果の形状比(堅果長/堅果幅)および堅果重の反復率は0.451,0.162であった。堅果形状比は, 年次間変動が小さく, 遺伝性の高い形質であることが示唆された。また, 東部地域産のクローンは, 西部地域産のクローンに比べて葉の形状比(葉身長/葉身幅)が小さく, 側脈数が少なく, 堅果の形状比が小さい結果が得られた。これらの形質の特徴はカシワに近く, カシワは東部地域に広く分布していることから, ミズナラにおける両地域間の形質の変異に両種間の自然交雑が関与している可能性が示唆された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1999-11-16
著者
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