肺門部早期肺癌に対する外科治療 : 特に気管支形成術併用区域切除術の有用性について(肺門部早期癌の診断と治療)(第 18 回日本気管支学会総会特集号)

概要

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【目的】肺門部早期肺癌は完治し得る癌であり, 早期発見・早期治療の意義は大きい。われわれは, 肺切除量を極力少なくし, かつ根治性を有する術式である気管支形成術併用区域切除術の有用性につき検討した。【対象と方法】1977∿94年の切除肺癌症例中, 肺門部早期肺癌と病理診断された39(男38, 女1)例を対象とした。年齢は49∿77(平均63)歳。組織型は扁平37, 腺1, 粘表皮1であった。術式は肺剔除1, スリーブ葉切17, 葉切11, スリーブ区切7, 区切2, 肺切除を伴わない左上下幹分岐部切除1であり, すなわち10/39例(26%)にparenchymal-sparing surgeryを施行した。【結果】手術死はなく, 全体の5生率は100%, 10生率は90.5%であった。肺癌死は2例で, 1例が5年4ヵ月原病死, 1例が5年6ヵ月第2癌で死亡した。parenchymal-sparing surgeryを施行した群には再発を認めず, 7例が3年以上生存している(5年生存者3例を含む)。スリーブ区切では肺切除に先行させて気道再建を行うことにより, 区域切除が容易に施行された。【結論】肺門部早期肺癌に対しては術前術中を通じて十分に評価した上でparenchymal-sparing surgeryを適用することが可能と考えられた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1995-12-25