高齢者(75歳以上)肺癌に対する肺癌切除症例の検討 : 切除根治度と手術成績からみた検討

概要

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1973〜1988年2月までの約15年間に経験した33例の高齢者(75歳以上)肺癌切除症例につき,その切除根治度と手術成績および術後合併症について検討した.手術例の1生率は58.6%,3生率37.7%であり,I期例では1生率83.3%,3生率66.7%と良好であるが,III期例では1生率38.4%,3生率19.2%と不良であった.17例が生存中で,I期12例,III期4例,IV期1例であり,その術式は,肺葉切除が22例中14例,肺区域切除が7例中3例で,葉切例に生存例が多く,切除根治度では,絶治13例中10例,相治2例中1例,相非9例中4例,絶非7例中2例が生存中で,絶治例に生存例が多い.術後合併症は,33例中18例(54.5%)と高頻度に認め,切除根治度の上昇と共にその発生率も上昇したが,致死的合併症はなかった.よって当科では,手術成績の向上に主眼をおき,高齢者といえども,できる限り広範囲リンパ節廓清を含めた治癒切除をめざす方針を取るべきであると考えている.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1989-06-15