肺結核症診断における気管支鏡検査の有用性 : 当院における最近3年間の検討

概要

論文の詳細を見る
結核が疑われるが初診時に喀痰が得られないかまたは喀痰塗抹陰性の場合, 確定診断のために気管支鏡検査が行われる。今回我々は, 結核症診断における気管支鏡検査の有用性をretrospectiveに検討した。1997年10月から2000年9月の3年間に上記の様な症例で結核の診断または鑑別診断目的で気管支鏡を施行したのは101例で, その内, 最終的に活動性肺結核と診断したものは34例であった。結核菌の証明は, 初診時の喀痰培養が陽性であったのが34例中10例(29.4%)に対して, 気管支鏡的手段では26例(76.5%)と有意に向上した(p<0.001)。ブラッシングまたは気管支洗浄液の塗抹陽性は16例で(47.1%)早期診断が可能であった。気管支鏡検査によってのみ菌が検出できたものが10例(29.4%)であった。しかしながら8例(23.5%)は, いずれの方法でも菌の証明に至らず, 診断のためには総合判断が必要であった。気管支洗浄液の核酸増幅法はPCRを13例, MTDを22例で測定した。PCRは一定の傾向を示さなかったが, MTDは洗浄液中の抗酸菌培養の結果とよく相関しており, 結核の早期診断, 非定型抗酸菌症との鑑別, 治療の開始の決定に関して有力な情報を提供した。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
2001-05-25