キュウリモザイクウイルス感染タバコ葉におけるウイルスRNA複製複合体の性質と所在
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概要
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キュウリモザイクウイルス(CMV)を接種したタバコ葉から膜結合(M)ならびに可溶性(S)のRNA依存RNA合成酵素画分を調製し, それらの酵素活性とウイルス濃度の推移を調べた結果, M活性はウイルス濃度の増加に先行して上昇し, S活性はウイルス濃度が飽和した後に急上昇した。M酵素の試験管内合成産物は主として複製型の2本鎖CMV RNAであった。Percoll不連続密度勾配遠心分画ならびに電子顕微鏡観察の結果から, M酵素は細胞内小胞体に関係していることが示唆された。M酵素は内在性鋳型としてウイルスRNAを含んでおり, 界面活性剤やMg^<++>イオン欠乏処理あるいはSepharose 4Bカラムクロマトグラフィーによる精製を行った後も, 細胞内膜構造に強固に結合していた。これらの精製操作によって, 試験管内で低分子のRNAを合成するS酵素をM酵素から除去することが可能であった。タバコプロトプラストを用いた実験の結果ではS酵素はCMV感染によってもまったく誘導されず, この酵素は葉組織レベルでのみ誘導される宿主由来の酵素であり, PR蛋白質と同様ウイルス感染の結果として生ずるものと考えられた。CMV RNA複製酵素複合体は少なくともウイルスRNAの翻訳産物, 宿主細胞の小胞体ならびに内在性鋳型ウイルスRNAにより構成されると推察された。
- 日本植物病理学会の論文
- 1989-12-25
著者
-
久保 進
(現)日本たばこ産業(株)安全性研究所
-
久保 進
日本たばこ産業(株)安全性研究所
-
高浪 洋一
日本たばこ産業(株)生命科学研究所
-
新田 直人
日本たばこ植開研横浜セ
-
新田 直人
日本たばこ遺伝育種研
-
新田 直人
日本たばこ・遺伝育種研究所:オリノバ:(現)日本たばこ・たばこ事業本部)
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