コンピュータアニメーションによる頭髪の動き生成手法

概要

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コンピュータグラフィックスによって現実感ある人間を表現する技術は,その重要性の認識の高まりとともに,ここ数年で急速な進歩を遂げた.しかしながら,頭髪の表現に関してはまだその研究の緒についたにすぎない.特に外力に伴う頭髪の動きを表現するには,数万本以上あるといわれる頭髪の複雑なダイナミクスを扱わねばならず,一般的に解決するには著しい困難が伴う.これに対し従来手法では,計算の簡易化を果たせたが表現力が十分でないか,あるいは計算量や適切なパラメータ設定に負荷が重く効率良いアニメーション作成が行えないといった問題点を有していた.そこで本論文では頭髪のもつ慣性と外力場とのつりあしを記述する簡単な微分方程式とこれに適合する外力場モデルを提示し,さまざまな外力場を簡単なプレビューをもとに指定できる方式を提案する.また頭髪と頭部の衝突問題を近似的に解く方法として疑似外力を導入し,さらに頭髪の慣性に関しての経験式を用いて頭髪相互の摩擦の効果を粗く表現している.本方式によって,従来よりもしなやかで多様な頭髪の動きを表現できることが示される.
1994-02-15