893. 珪藻殻の形態変異にもとづく進化系列 : Nitzschia fossilis から Pseudoeunotia doliolus への一例
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概要
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現生珪藻種Pseudoeunotia doliolusにみられるゆるやかな弧状ないし直線状腹縁は絶滅種Nitzschia fossilisの突出した弧状の縁から約200万年前以降100万年以上の時間をかけて徐々に発達して来た。P. doliolusの殻面観にみられる殻の非対称の変化は一般的な傾向として珪藻温度(Td)指数の変化と同調しているが, 両者の変化は細部において一致していない。すなわちP. doliolusの腹縁の脹らみは第四紀更新世を通じて起った表層海水温の低下によって減少したのではなく, 発生学的な原因によって減少したと考えられる。このことはP. doliolusとN. fossilisとの珪藻殻を走査型電子顕微鏡によって観察した結果, 両者の殻における対称性の違いを除き, 両者が全く同じ殻の構造を持っていることからも支持される。
- 日本古生物学会の論文
- 1990-04-30
著者
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柳沢 幸夫
Geological Survey Of Japan
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柳沢 幸夫
Geological Museum Geological Survey Of Japan
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小泉 格
Department of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Hokkaido University
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小泉 格
Department Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Hokkaido University
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Yanagisawa Yukio
Geological Survey Of Japan
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