野生動物研究における Animal Welfare : 対象動物と生態系に配慮した調査研究のガイドラインとは(<特集>再考 野生動物の捕獲学)
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概要
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近年,日本においても「Animal Welfare(動物福祉)」の考えは浸透し,特に実験動物では,倫理的な取り扱いのためのガイドラインや作業マニュアルなどが作成されてきている。しかし,日本では野生動物に対する「Animal Welfare」の意識は低く,共通認識すら出来上がっていない。すなわち,動物の取り扱いは個人のモラルに委ねられている。野生動物の場合,実験動物における「3 Rs(Replacement, Reduction, Refinement)」全てを実施することは難しく,個体そのものだけではなく,個体の属する個体群や生態系まで配慮して調査研究を行うことが求められる。食肉目調査マニュアル作成準備会では,上記のことを鑑み,「野生動物の福祉」を考慮した食肉目調査マニュアルの作成とともに「野生動物の取り扱いに関するガイドライン」の策定を呼びかけるための準備として,食肉目の研究者を対象にアンケート調査を行った。その結果,回答者の約90%が哺乳類研究において「動物福祉」の観点と「野生動物の取り扱いに関するガイドライン」が必要だと回答した。また調査遂行上,発生した問題点や失敗例に関する設問に対し,95%が失敗の経験があると答え,その内容は捕獲,器具の装着,麻酔に関するものであった。本稿では,食肉目研究者から得られたアンケート結果と,海外の「動物の取り扱いに関するガイドライン」を紹介し,日本における野生動物調査研究における問題点と課題を論じる。
- 日本野生動物医学会の論文
著者
-
福江 佑子
ワイルドライフコミュニティ
-
藤井 猛
広島県農林水産部林務管理室
-
藤井 猛
野生動物保護管理事務所
-
藤井 猛
東京農工大学農学部生態系計画学講座
-
橋本 幸彦
財団法人 尾瀬保護財団
-
福江 佑子
Npo法人ピッキオ
-
福江 佑子
東京農工大学農学部野生動物保護学研究室
-
福江 佑子
(株)ピッキオ
-
金澤 文吾
NPO法人 四国自然史科学研究センター
-
中村 俊彦
(財)日本生態系協会生態系研究センター
-
金子 弥生
国土交通省国土技術政策総合研究所環境研究部緑化生態研究室
-
佐伯 緑
オックスフォード大学動物学部野生動物保護ユニット
-
橋本 幸彦
(財)自然環境研究センター
-
藤井 猛
(株)野生動物保護管理事務所
-
金澤 文吾
東京農工大学野生動物保護学研究室
-
中村 俊彦
東京農工大学野生動物保護学研究室
-
金子 弥生
東京農工大学農学部
-
中村 俊彦
千葉県立中央博物館生態学研究科
-
中村 俊彦
千葉県立中央博物館:生態・環境研究部
-
中村 俊彦
東京農工大学農学部野生動物保護学研究室
-
佐伯 緑
国土交通省国土技術政策総合研究所緑化生態研究室
-
金子 弥生
ヤマザキ動物看護短期大学動物看護学科
-
金子 弥生
Wildlife Conservation Research Unit Department Of Zoology University Of Oxford
-
金子 弥生
国土交通省国土技術政策総合研究所 環境部緑化生態研究室 科学技術振興事業団
-
金澤 文吾
Npo法人四国自然史科学研究センター
-
金澤 文吾
東京農工大学大学院連合農学研究科野生動物保護学研究室
-
金子 弥生
東京農工大学大学院農学研究院野生動物保護学研究室
-
中村 俊彦
千葉県立中央博物館・生物多様性センター
-
福江 佑子
あーすわーむ
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