気管支喘息における感作と減感作の基序に関する研究

概要

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感作と減感作の機序を解析する目的で, ホヤのもつ2つの異なる抗原物質, すなわち, 皮膚反応活性成分 (H成分) および粘膜反応活性成分 (S成分) を用いてホヤ喘息患者を治療し, 治療の前後を通じて, 血清IgE量および遮断抗体価を測定して次の結果をえた.健常なカキ従業者の血清IgE量は健常者と同等であった.ホヤ喘息患者では, 季節前後はわずかに高値を示す程度であったが, 季節中は著しい高値を示した.減感作療法の効果や治療期間と血清IgE量は無関係であった.遮断抗体価は減感作後急増し, 維持療法を行うかぎりほぼ同じ値が続いたが, 注射間隔を遠くしすぎると徐々に下降した.減感作療法の効果は遮断抗体産生の経過と平行して推移し, 遮断抗体価の高いものでは, 血清IgE量は多くとも従業時に発作を起こすことはなかった.ホヤ喘息患者で減感作療法未施行例で検査すると, 季節前には遮断抗体産生はなかったが, 季節中には過半数の症例で遮断抗体の産生を認めた.血清IgE量と遮断抗体価の間には相関はなかった.ホヤ喘息患者においてS成分は, IgE を, H成分は遮断抗体を産生すると思われる.IgE との反応によりS成分は粘膜反応 (発作) を誘発するが, H成分は皮膚反応を誘発するのみで, 発作をおこすことはない.抗原精製や保存の過程において, H成分は安定であったが, S成分は不安定であった.粗抗原液にはS成分が残存するため, 減感作時に発作の誘発をみることがあったが, H成分のみを含む精製抗原液による治療では, 発作の誘発されることはなかった.
日本アレルギー学会の論文
1974-07-30

気管支喘息における感作と減感作の基序に関する研究

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