遺伝性高中性脂肪血症家兎における動脈硬化病変の進展および大腿動脈圧
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概要
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高コレステロール血症は、粥状動脈硬化の形成に密接に関わっている^(1),2))。その一方で、高コレステロール血症に合併した高中性脂肪血症が、動脈硬化の進展にどのような役割を果たしているのかについては、まだ一定の見解が得られていない。山形大学医学部動物実験施設では、Watanabe heritable hyperlipidemic (WHHL) rabbits を中性脂肪値にしたがって選抜交配することにより、中性脂肪が高値の群(high-triglyceride rabbit:TGH)と低値の群(low-triglyceride rabbit: TGL)の2系統伝疾患モデルを樹立した。そこで、本研究ではTGH の動脈硬化病変の分布と循環動態について検討した。実験には、24ヶ月齢の日本白色家兎(Japanese White rabbit: JW)とTGH を用いた。摘出した大動脈の動脈硬化病変を、Elastica-Masson trichrome 染色により検討した。また、ケタミンとキシラジンの静脈内投与による持続麻酔下において、大腿動脈圧を測定した。大腿静脈に挿入したカニューレより、NO 合成酵素阻害薬である N^G-nitro-L-arginine methyl-ester (L-NAME) を投与し、血圧の経時的変化を測定した。JW では、検討した大動脈のいずれの部位でも、全く動脈硬化病変を認めなかった。一方、TGH では大動脈弓部に顕著な動脈硬化病変を認めた。定常時血圧は、JW とTGH の間に有意な差はなかった。しかし、TGH の脈圧は、JW よりも有意に大きかった。また、NO 合成酵素阻害薬である L-NAME の投与によって、JW 、TGH いずれにおいても血圧が有意に上昇した。しかし、L-NAME 投与後の血圧上昇率には、JW とTGHの間に明らかな差は認められなかった。以上の結果から、TGH の大動脈では動脈硬化が進展していること、それにより血管壁の弾性低下をきたし脈圧を増大させることが示唆された。
- 山形大学の論文
- 2005-02-16
著者
-
石幡 明
奥羽大学薬学部
-
下田 智子
山形大学医学部看護学科臨床看護学講座
-
伊藤 恒賢
山形大学医学部動物実験施設
-
石幡 明
山形大学医学部
-
伊藤 恒賢
山形大学医学部附属動物実験施設
-
伊藤 恒賢
山形大・医・動物実験施設
-
伊藤 恒賢
山形大学医学部
-
下田 智子
北海道大学大学院保健科学院
-
伊藤 恒賢[他]
山形大学医学部動物実験施設
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