老齢ラット膀胱におけるアトロピン抵抗性収縮に対するプロピベリンの効果
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概要
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【背景】膀胱平滑筋収縮はコリン作動性と非アドレナリン非コリン作動性神経によって仲介されている。健常者では、膀胱収縮は主としてムスカリン受容体を介して引き起こされるが、排尿障害を伴う高齢者では抗コリン薬の効果が十分でない場合もある。この原因として、ムスカリン受容体を介さない収縮、すなわちアトロピン抵抗性収縮が加齢により増加する可能性が考えられる。しかし、これまでにアトロピン抵抗性収縮と加齢との関係は明らかにされていない。また、臨床で頻用されているプロピベリンは抗ムスカリン作用の他にCa2+拮抗作用を有し、下部尿路症状のある高齢者に対しても効果をもたらす薬剤として期待されている。そこで本研究では、(1)加齢に伴う膀胱平滑筋のアトロピン抵抗性収縮の変化、および(2)膀胱平滑筋収縮に対する抗コリン薬(アトロピンおよびプロピベリン)の効果について検討した。【研究方法】若齢(3ヵ月齢)および老齢(28ヵ月齢以上)の雄性Fischer 344ラットから膀胱を摘出し短冊標本を作製した。標本をorgan bathに懸垂し、等尺性収縮張力を測定した。抗コリン薬(アトロピンおよびプロピベリン)投与後、経壁電気刺激(刺激頻度 1 〜128Hz、持続時間0.2ミリ秒、刺激時間3秒、刺激間隔180秒)により発生する収縮張力の頻度反応曲線を求め、コントロールに対する抑制効果を比較した。【結果および結論】高濃度K+による収縮反応に加齢変化はなかった。アトロピンは経壁電気刺激による収縮を若齢で約55%、老齢で約25%抑制した。プロピベリンは電気刺激による収縮を若齢で約54%、老齢で約60%抑制した。これらの結果より、加齢に伴ってアトロピン抵抗性収縮が増強されること、プロピベリンはアトロピン抵抗性収縮を伴う高齢者の排尿障害に有効に作用する可能性が示唆された。
- 2008-08-15
著者
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山田 晃子
山形大学医学部看護学科病態機能学
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石幡 明
奥羽大学薬学部
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片野 由美
山形大学医学部看護学科病態機能学
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小林 優子
山形大学医学部看護学科臨床看護学講座
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會田 智美
山形大学医学部看護学科臨床看護学講座
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南里 真人
大鵬薬品育薬研究所薬理部門
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