老齢ラット膀胱における体部ムスカリン受容体と三角部α受容体の変化
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概要
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膀胱平滑筋機能は交感神経と副交感神経の二重支配によって制御を受けている。膀胱体部平滑筋のβ受容体を介する弛緩反応は加齢によって低下することはすでに報告されている。本研究では、膀胱平滑筋のムスカリンおよびα受容体を介する収縮機能、ムスカリン受容体の加齢変化について検討した。若齢(2〜3ヵ月齢)、老齢(27 ヵ月齢)のFischer 344ラット(♂)から膀胱を摘出し実験に用いた。膀胱体部において、carbacholによる収縮反応に加齢変化はみられず、carbacholの収縮反応はM3遮断薬により競合的に拮抗された。膀胱三角部において、phenylephrineによる収縮の濃度-反応曲線を求めたところ、phenylephrineによる最大収縮反応は、若齢ラットに比べ老齢ラットにおいて有意に増加した。ムスカリン受容体を定量するために膀胱破砕膜標本を用いた[^3H] quinuclidinyl benzilate (QNB) の飽和結合実験を行った。その結果、[^3H] QNB特異的結合の量およびその親和性に加齢変化は認められなかった。以上の結果から、加齢に伴う体部β受容体を介する弛緩反応の低下に加え、三角部のα受容体を介する収縮反応の増加が排尿障害の一因となっている可能性が示唆された。
- 山形大学の論文
- 2004-08-16
著者
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