月経周期中および去勢後における雌ニホンザル下垂体中LHの質的量的変動

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LHの生合成分泌過程における分子修飾の各段階を解明するため, 異なった性ステロイド環境下での成熟雌ニホンザル下垂体中LHの質的量的変動を比較検討した。卵胞期初期3頭, 卵胞期後期4頭, 黄体期中期3頭および去勢後のサル3頭を用い, 各サルの下垂体LHをpH range3.5〜10.0の等電点電気泳動法 (IEF) により分画した。血中estradiol (E_2), 血中progesterone (P_4) はdirect RIA kitにより, また血中, 下垂体中および各分画中のbioactive LHはin vitro bioassay法により測定した。排卵周辺期におけるE_2 peakとbioactive LH peakの同時性が13頭中11頭に認められた。黄体期中期における血中E_2の上昇は全く認められなかった。下垂体bioactive LH含量 (IU/mg wet weight) は血中E_2と良く相関し (R^2=0.974), 卵胞期後期における増加が著明であった (p<0.01)。IEFによりサル下垂体bioactive LHはpI値よりA (9.31±0.19), B (8.88±0.17), C (8.36±0.17), D (7.92±0.18), E (7.32±0.16) およびF (酸性LH) の六つの分子種に分画された。アルカリ性LHの内主要な分子種は, 卵胞期初期においてB, C, Dであり, 卵胞期後期になるとA次いでBであり, 黄体期中期ではB次いでCであった。中性〜酸性LH分子種は卵胞期初期および去勢後に多く認められた。ニホンザル下垂体中のbioactive LH含有量および各LH分子種の割合は異なった性ステロイド環境において種へに変動することが認められた。IEFにより分画される各LH分子種は下垂体における分子修飾の各段階を反映し, 酸性LHは未熟型, 弱〜中アルカリ性LHは分泌型, 強アルカリ性LHは貯留型LHであることが示唆された。
1989-03-01

月経周期中および去勢後における雌ニホンザル下垂体中LHの質的量的変動

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