Gonadotropin releasing hormone (GnRH) 律動投与による排卵誘発時の一過性高プロラクチン血症について
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概要
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7例のクロミフェン無効正 prolactin (PRL)性無排卵症の患者にGnRH律動投与で排卵誘発を行った(15周期)。1例で排卵が誘起されたが6例では不成功であった。不成功におわった症例において、いくつかの興味ある問題点が明らかとなった。 1) 誘発開始後数日で、血中PRL値が上昇し6〜10日間持続する50〜100ng/mlの一過性高PRL血症が7例中5例(10/15周期)で認められた。 2) 高PRL血症を呈した症例では卵胞成熟と排卵が抑制された。 3) 誘発中 time course study を行った結果7例中3例でGnRH pulse に対するLHの反応が認められなかった。 4) Time course study でPRL値が比較的低い状態の時LHとPRLの同期性分泌がみられたが、PRLが高値の場合にはこの周期性が認められなかった。これらの所見のうちGnRHパルスにLHが反応しない例があることは下垂体において down-regulation のおこる可能性を示唆している。LHとPRLの同期性分泌はGnRH-mediated PRL releasing factor(PRF)の介在と paracrine system を介した gonadotroph lactotroph の相互作用を示唆するものである。GnRH律動投与中おこる一過性高PRL血症は、近年GnRH associated peptide(GAP)がPRL inhibiting factor (PIF)であることが推定されていることから、外因性GnRH投与により本来のGnRH/GAP比が増大しGnRH-mediated PRFとGAPのPRL分泌抑制作用との間にunbalanceが生じるためにおこった現象と考えられる。視床下部-下垂体系が正常に保たれている症例に、GnRH律動投与による排卵誘発を行う際には一過性高PRL血症と down-regulation の発現に留意する必要がある。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-05-01
著者
-
杉並 洋
高の原中央病院婦人科腹腔鏡下手術センター
-
杉並 洋
国立京都病院
-
杉並 洋
愛媛大学医学部産科婦人科
-
松浦 俊平
愛媛大学医学部産科婦人科学教室
-
冨岡 尚徳
八幡浜市立病院
-
冨岡 尚徳
愛媛大学医学部産婦人科教室
-
黒田 譲治
愛媛大学医学部
-
松浦 俊平
愛媛大学医学部産婦人科
-
黒田 譲治
愛媛大学医学部産婦人科学教室
-
杉並 洋
愛媛大学医学部産婦人科学教室
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