ダグラス窩子宮内膜症病変に対する超音波診断

概要

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外性子宮内膜症患者56例についてダグラス窩病変の超音波断層法による所見と腹腔鏡による所見とを比較検討した.超音波所見により次の3群に分類した.A群:子宮後面およびダグラス窩に異常所見が得られないもの(21例).B群:該部に数個の nodular hyperechoic areaあるいはcystic hypoechoic areaが存在するもの(16例).C群:該部が不明瞭あるいは不連続のもの,またはnodular hyperechoic areaあるいはcystic hypoechoic areaを多数認めるもの(19例).また,腹腔鏡所見により次の3群に分類した.α群:子宮後面およびダグラス窩に子宮内膜症病変を認めないもの(6例).β群:該部に数個の小さな子宮内膜症病変が認められるもの(28例).γ群:該部の子宮内膜症病変が顕著なもの,あるいは卵巣,腸管など周囲臓器との癒着が認められるもの(22例).超音波および腹腔鏡所見の一致率はα群:66.7%(4/6),β群:32.1%(9/28),γ群:68.2%(15/22)であり,β群に比し,γ群での一致率が有意に高かった(p<0.05).これらの成績より,超音波断層法によるダグラス窩子宮内膜症病変の診断は重症例には有効であるが,病変が軽微である場合には困難であることが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-11-01