ヒト妊娠初期黄体のステロイド合成能に及ぼすhuman chorionic gonadotropinおよびprostaglandin F_<2^α>の作用,ならびにそれらの作用機序に関する研究

概要

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ヒト妊娠初期黄体のsteroidogenesisに及ぼすhuman chorionic gonadotropin (HCG)およびprostaglandin F_<2^α>(PG F_<2^α>)の作用ならびにそれらの作用機序をin vitro実験系を用いて追求し,次のような成績が得られた. 1) HCGおよびPG F_<2^α>はヒト妊娠初期黄体のsteroidogenesisに対して促進的に作用した. 2) Dibutyryl cyclic AMPにおいても同様にそのsteroidogenesisは亢進した. 3) HCGおよびPG F_<2^α>のsteroidogenesis促進作用はtheophyllineの添加によりさらに増強した. 4) 黄体細胞中cyclic AMP濃度はHCG負荷によつて上昇し,その上昇はtheophyllineの添加によりさらに著明となつた. 5) PG F_<2^α>負荷においてはcyclic AMP濃度の上昇は認められず,theophyllineの添加によつてもその上昇はごく軽度であつた. 以上のことから,HCGはin vitroにおいてヒト妊娠初期黄体に対しluteotropicに作用し,その作用はcyclic AMPをsecond mediatorとするものであることが推論できた.一方,PG F_<2^α>は黄体細胞のsteroidogenesisに対し促進的に作用するものの,その作用はadenylate cyclase-cyclic AMP系を介さず,その他の何らかの機構による可能性が示唆された.また,E型およびF型のprostaglandinsの作用機序が異なつている可能性も示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1976-08-01