低出生体重児分娩例における血液凝固・線溶系の検討
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概要
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SGA(smallforgestationalage)児の出生原因を血液凝固・線溶面からアプローチするために、妊娠中から分娩時において、異常のみられなかつた54症例を対象に、妊娠36〜37週の母体静脈血の凝固・線溶能と児の出生体重との関連を検討し、次の結論を得た。(1)SGA児出生群はAGA(appropriateforgestationalage)およびLGA(largeforgestationalage)児出生群の2群に比し、血液凝固元進、血小板凝集能の冗進および線溶抑制傾向が認められた。とくに、プロトロンビン時間においては推計学上SGA児出生群は他の2群に比し、有意の短縮(p<0.002)がみられた。(2)母体血のプロトロソビγ時間と児の出生体重は有意の相関がみられ(r=0.38446、p<0.01)、妊娠後期の母体血のプロトロンビン時間が短縮している症例ほど、出生体重が低い傾向にあつた。以上より、このような血液凝固・線溶系の変化が子宮胎盤血流量の減少に影響をおよぼし、SGA児の出生がみられると推察される。さらに、母体血のプロトロンビン時間値がSGA児出生予測のパラメーターになると同時に、今後、SGA児の出生前治療として線溶療法も考慮するべきであると思われる。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-05-01
著者
-
細野 幸多
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科学教室
-
布施 養慈
帝京大
-
柿沼 三郎
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
-
布施 養慈
帝京大学医学部産婦人科学講座
-
布施 養慈
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
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