妊娠後期の血液凝固・線溶能,血小板機能および子宮動脈Pulsatility Indexと出生体重との関連
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概要
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目的:児の発育に関与する因子は数多くあるが,いまだその詳細については不明である。著者は妊娠後期における母体の血液凝固・線溶能,血小板機能および超音波パルスドップラー法を用いた子宮動脈血流動態を検索し,新生児の出生体重との関連をretrospectiveに検討した。対象および方法:対象は当科の産科外来で妊娠初期から管理し,インフォームド・コンセントの得られた正常妊婦76例で,妊娠36週時に血液凝固・線溶能および血小板機能さらに子宮動脈の血流速度波形を測定しpulsatility index (PI)を求めた。症例は新生児の出生時体重基準曲線においてappropriate for gestational age infant (AGA)分娩例(n=52)とsmall for gestational age infant (SGA)分娩例(n=24)の2群に分類し,その諸検査結果をretrospectiveに検討した。結果:SGA分娩例の妊娠後期の母体血は,活性部分トロンボプラスチン時間およびプロトロンビン時間の短縮,フィブリノゲン量の減少,プラスミノゲン,α_2-プラスミンインヒビター,アンチトロンビンIIIの減少を認め,血液凝固・線溶能の亢進傾向がみられたが,血小板機能は有意の変動は認められなかった。また,SGA分娩例では全例,子宮動脈PI値の上昇がみられ,その75%に血液凝固・線溶能の異常が認められた。結論:SGA分娩の原因の1つは血液凝固・線溶能の亢進であり,その結果,子宮胎盤循環不全が発生し,胎児の正常な体重増加が阻害されると推察された。
- 東邦大学の論文
- 2005-03-01
著者
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