正常妊娠における児の発育と血小板機能
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概要
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低出生体重児の病因については種々の解釈がなされているものの定説はいまだみられない。今回, 我々は妊娠時の血小板機能と児の発育との関連性を追求するために本研究を行った。妊娠中から分娩時において臨床的に全く異常の認められなかった23歳から35歳の妊婦130例を対象にretrospectiveな検索を行った。採血は同一症例において妊娠29週から30週 (以下妊娠中期と略す) および妊娠37週から38週 (以下妊娠後期と略す) の早朝空腹時に肘静脈より行い, 検体とした。症例は出生体重2,500g未満例 (n=32) と2,500g以上例 (n=98) に分類し, 各群における妊娠中期と妊娠後期の母体血の血小板機能を検索し, 次の結論を得た。1. 血小板数は妊娠中期から妊娠後期において, 出生体重の差による有意の変動は認められなかった。2. 血小板凝集能は妊娠中期から妊娠後期において, 出生体重2,500g未満例では軽度の抑制を認めた。同様に, 出生体重2,500g以上例では, 軽度の亢進がみられた。3. 血小板第4因子は出生体重2,500g未満例では, 妊娠中期から妊娠後期において有意の低下 (p<0.005) を認めた。同様に, 出生体重2,500g以上例では軽度の増加がみられた。4. β-thromboglobulinは出生体重2,500g未満例では, 妊娠中期から妊娠後期において有意の低下 (p<0.001) を認めた。同様に, 出生体重2, 500g以上例では増加がみられた。5. 妊娠中期において, 血小板Collagen凝集能は出生体重2,500g未満例は出生体重2,500g以上例に比して有意の亢進 (p<0.02) がみられた。血小板第4因子は出生体重2,500g未満例は出生体重2,500g以上例に比して有意に亢進 (p<0.001) しており, β-thromboglobulinにおいても同様 (p<0.001) であった。6. 妊娠後期においては, いずれの検査も出生体重の差による変動は認められなかった。以上のことより, 妊娠中期の血小板機能の亢進, とくに血小板の活性化は血液凝固・線溶能の変化と相俟って胎児の発育に影響を及ぼす要因の一つと思われた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-01-01
著者
-
布施 養慈
帝京大
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柿沼 三郎
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
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永江 毅
愛甲クリニック
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印牧 美佐緒
帝京大溝口
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布施 養慈
帝京大学医学部産婦人科学講座
-
向井 治文
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
-
永江 毅
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
-
印牧 美佐緒
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
-
布施 養慈
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
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