分娩時の血液凝固 線溶能について
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概要
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妊娠時とくに妊娠後期の血液凝固亢進・線溶抑制状態が分娩時にいかに変化するかを明確にするために分娩前後の血液凝固・線溶能の変化を検索し,さらに分娩時出血を予測するために,分娩時出血量と分娩前における血液凝固・線溶能との関連についても検討した.妊娠中から分娩時にかけて合併症のみられたかった分娩時出血量500ml以下の経膣自然分娩(正常出血群)21例および501ml以上の異常出血を呈した経腔自然分娩(異常出血群)7例を対象に,血液凝固・線溶能を検索し次の結果を得た.1.分娩前後の血液凝固・線溶能の変化は正常出血群,異常出血群いずれも同様の傾向を認めた.2.分娩後は分娩前に比し,血小板数の減少,フィブリノゲン量の減少および活性部分トロンポプラスチン時間の短縮を認め,血液凝固能の亢進が示唆された.3.線溶能は分娩前後において,著明た変化はみられなかった.4.血小板ADPおよびエピネフリン凝集能は分娩後に低下したが,血小板コラーゲン凝集能は変化を認めなかった.5.分娩前の血液凝固・線溶能は,異常出血群においてプロトロンピン時間が正常出血群に比し短縮していた.6.分娩前に拓ける血液凝固・線溶能と分娩時出揃量の相関について検討すると,プラズミノーゲンおよびα_2プラズミンインヒビターに分娩時出血量との関連が示唆された.以上のごとく分娩後は分娩前に比し,血液凝固能の亢進がみられ,また,分娩前におけるプロトロンビン時間,プラズミノーゲンおよびα_2プラズミンインヒビターが今後,分娩時出痂対策のパラメーターになりうると思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-04-01
著者
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