臍帯血の凝固・線溶能について : とくに出生体重との関連
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概要
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周産期における血液凝固・線溶動態およびSGA(small for gestational age)児出生の原因を追求するために,臍帯血の凝固・線溶能について検索し,母体血との比較,出生体重の差による考察,児の性差による相違を満期・経腟自然分娩68例を対象に検討し,次の成績を得た. 1.臍帯血は,母体血に比して,プロトロンビン時間,活性部分トロンボプラスチン時間の延長,フィブリノゲンの低下,血小板凝集能,アンチトロンビンIII,およびプラスミノゲンの低下がいずれも有意に認められた.さらにthromboxane B^2と6-ketoprostaglandin F_<1α>の高値もみられた. 2.SGA群は,AGA(appropriate for gestational age)群やLGA(large for gestational age)群に比し,血小板数,アンチトロンビンIII,プラスミノゲンおよびα_2-プラスミンインヒビターの有意の低下が認められた. 3.臍帯血の凝固・線溶能に性差は認められなかつた. これら臍帯血の凝固・線溶能,とくにSGA群にみられた変化は,児における肝臓の末熟性を基盤として,妊娠中から分娩時における種々のstressに誘発されたchronic DIC(disseminated intravascular coagulation)やmild acidosisによる子宮胎盤血流量の減少が加わつたために,発育障害を起こすと推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-09-01
著者
-
細野 幸多
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科学教室
-
布施 養慈
帝京大
-
柿沼 三郎
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
-
布施 養慈
帝京大学医学部産婦人科学講座
-
布施 養慈
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
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