子宮頸癌担体の血清蛋白質 : 特にα-およびγ-グロブリンについて
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概要
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子宮頚癌患者309例(第I期:72例, 第II期:123例, 第III期:96例, 第1V期:18例)について血清蛋白質分画の変動をセルローズアセテート電気泳動法によつて測定し, 癌病巣の拡がりと蛋白質分画異常との関係を比較検討した.血清総蛋白質濃度は頚癌第I期から第IV期までを通じて著明な変動を認めないが, アルブミンはすでに第I期から有意の減少を示し以下病期の進行にしたがつて漸滅の傾向を示す.これに対してα_2-グロブリンおよびγ-グロブリンは第I期からすでに増加しはじめ, α_1-グロブリンはこれらにやや遅れて第II期から増加しはじめる.他臓器の癌の場合にみられるβ-グロブリンの変化は子宮頚癌の場合にはほとんど認められなかつた.血清蛋白質の変動は必ずしも癌に特異的な変化ではないが, いろいろな臓器の癌でかたり顕著な変動を示すことが知られている.ことにα-グロブリンおよびγ-グロブリンの2つの分画が最近注目を集めており, その変化については種々の基礎的研究も行なわれている現状である.α-グロブリンは病巣の拡大につれて増加し, 一方γ-グロブリンは長期経過癌, あるいは末期癌で増加するといわれ, 前者には腫瘍増殖促進因子, 後者には抗腫瘍因子の存在の奇能性が想定されている.子宮頚癌患者の血清蛋白質分画の変動について特にα-グロブリンおよびγ-グロブリンに焦点を合わせてその病態生理学的意義について言及した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-12-01
著者
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