子宮頚癌担体の血清コリンエステラーゼ活性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮頚癌患者184例 (第I期:41例, 第II期:73例, 第III期:56例, 第IV期:14例) と子宮頚癌根治手術 (岡林術式) 後の患者95例 (非再発例:83例, 再発例:12例) について, 血清コリンエステラーゼ活性を柴田-高橋によるフェノールレッド比色法によつて測定し, 子宮頚癌各期における血清コリンエステラーゼ活性の変動, および頚癌根治手術後の非再発例と再発例とにおける同酵素活性の変動について比較, 検討を加えた. 子宮頚癌患者の血清コリンエステラーゼ活性は第I期からすでに活性低下の傾向を示し, 第II期から第IV期にかけては病期の進行にともなつて有意の漸減傾向を示すことを知つた. 子宮頚癌根治手術後の患者については非再発例が正常値を示すのに反して, 再発例では有意の酵素活性の低下を認めた. 血清コリンエステラーゼ活性の低下は必ずしも悪性腫瘍に特有の生化学的変化ではなく, その病態生理学的意義についても不明の点が多いが, 色々の臓器の悪性腫瘍で酵素活性の低下を示すことが多く, しかも腫瘍発生の初期から活性低下を認めることが多いという点は注目に値する. 最近特に悪性腫瘍抗体における血清蛋白分画異常像と血清コリンエステラーゼ活性低下との関係が注目を集めており, 血清蛋白分画像でα_2-およびγ-bandが明瞭であるのにβ-bandが弱いというもので加うるに血清コリンエステラーゼ活性の低下しているものは悪性腫瘍に特有の生化学的パターンとされており, 本稿の子宮頚癌の場合もこれに全く一致した成績を示したということはまことに興味深い. 子宮頚癌患者および子宮頚癌根治手術後の患者について血清コリンエステラーゼ活性を測定, 検討し酵素活性低下の病態生理学的意義について言及した.
- 1972-01-01
著者
関連論文
- 外因性 LH と新生仔卵巣の morphogenesis
- 141. LH-FSHと顆粒膜細胞レセプターとの結合に及ぼす性ステロイドの影響
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用とCyclic Nucleotides (Cyclic Nucleotidesと性機能)
- 54. 卵胞発育過程におけLH, FSHとレセプターとの結合 (第5群 内分泌 (50〜71))
- 69. 卵胞におけるFSHのprimary action siteに関する研究
- 卵巣奇形腫における病理組織学的所見と臨床経過
- P-194 妊娠初期におけるインヒビンA、アクチビンAの産生源
- P-48 子宮頸部腺癌におけるアポトーシスとBcl-2関連蛋白の発現
- 42 ヒト黄体におけるVascular Endothelial Growth Factor (VEGF)とその受容体(Flt-1)の発現
- 26 子宮内膜癌におけるアクチビンAの局在とtumorigenesis
- 74 ヒト子宮内膜と脱落膜におけるアクチビンAの局在
- 104. "Pueperal hypogonadism" の成因に関する動的解析
- 40. ゴナドトロピン作用下卵巣の核酸合成とステロイド合成のKey enzymeについて
- 30. Luteinzing Hormone Releasing Factor (LRF)の作用機序
- 33. 絨毛性腫瘍子宮の対外灌流実験
- 93 性索間質性卵巣腫瘍におけるインヒビン・サブユニットmRNAの発現
- 103 卵巣のLH受容体の発現とapoptosisに対するアクチビンAの作用
- P1-86 胎児の心臓・大血管系の異常の出生前診断の向上における試み : 胎児の超音波スクリーニング検診での胎児形態異常の検出を行って(Group10 妊娠・分娩・産褥の病理1,一般演題,第60回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-602 先天性心疾患の出生前診断率向上への試み : 妊娠中期超音波スクリーニングに胎児心スクリーニングを導入して(Group 79 胎児・新生児VII,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 下垂体性ゴナドトロピンの分泌調節 (ホルモンの分泌調節(第51回近畿産科婦人科学会シンポジウム))
- 96. Luteinizing Hormone Releasing Factor (LRF) と排卵の"Triggering"
- 慢性腎不全患者における妊娠, 分娩例の検討
- 263 月経周期における子宮内膜のApoptosis
- 343 LH/hCGによる誘発排卵におけるチロシン・キナーゼ活性化の役割
- P-85 閉経婦人の子宮内膜における細胞外マトリックスに対するエストロゲンの効果
- 生殖内分泌学におけるパラダイム・シフト
- P-287 正常および異常妊娠における血清中のコラーゲン、ラミニン濃度
- 339 正常妊娠と胞状奇胎の絨毛におけるラミニンmRNAの発現
- 240 ラット顆粒膜細胞におけるインヒビンA産生に対するサイトカインの影響
- 7 血中インヒビンA、インヒビンB測定による黄体機能の評価
- 2. 生殖 : a. 生殖におけるアポトーシス
- 414 正常絨毛と奇胎絨毛の細胞外マトリックス : タイプI, III, IV, V, VI コラーゲンについて
- 子宮頚癌担体の血清コリンエステラーゼ活性
- 63. Radioligand receptor assay (RLA)によるヒト下垂体性LHおよび血中LHの測定とその意義
- 144. ヒト黄体に対するhCGのルテオトロピン作用とprostaglandin(PG)F_の作用
- 重症排卵障害の分類と管理 (疾患の病態と治療/卵巣とその周辺疾患-1-)
- クロミフェンとLH-RH併用療法 (クロミフェン療法の基礎と臨床(内分泌研究部会教育講演))
- 無排卵症(性腺機能低下症)の臨床診断
- 31. 子宮頚癌担体の臨床生化学背景
- Mechanism of Follicle Rupture
- ゴナドトロピンの作用に関する基礎的問題
- 159. 外因性ゴナドトロピンの血中レベルと尿中への排泄について (昭和45年臨床大会講演要旨)
- ヒト下垂体性黄体化ホルモン (HLH) の生理学的半減期
- ヒト尿中ゴナドトロピンの精製とその生物学的および免疫学的活性 (LH活性) について
- 子宮頸癌担体の血清蛋白質 : 特にα-およびγ-グロブリンについて
- 外因性ゴナドトロピンの血中レベルと尿中への排泄
- 23. 子宮頚癌担体の臨床生化学的背景(第5報) : 子宮頚癌担体の血清酵素活性 (1 主題群 第3群 悪性腫瘍患者の病状とその酵素活性)
- 87. 子宮頚癌担体の臨床生化学的背景(第3報)血清蛋白分画の変動について
- 220. 絨毛性ゴナドトロピンの "stability" に関する研究