癌化学療法における血小板減少症に対する血小板増加因子の併用による克服 : ラット及びマウスを用いた研究

概要

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Thrombopoietin(TPO)は, 血小板減少時に血中で増加し巨核球の増殖及び成熟を促進し血小板を回復させる直接的造血因子と考えられている.近い将来癌化学療法の血小板減少症に対しTPO併用による安全で強力な化学療法確立のため, ラット及びマウスを用いてin vitro, in vivoに検討し以下の結果を得た.1.in vitroにおいて, マウス骨髄細胞へのTPOの添加は巨核球系細胞の増殖, 成熟を濃度及び時間依存性に促進した.また, 他のサイトカイン添加と比べ骨髄巨核球の増殖を有意に促進した(p<0.01).2.in vivoにおいてcarboplatin(CBDCA)による骨髄抑制マウスを作成し, TPO投与による比較検討を行った.TPO投与によりマウス血小板数は減少することなくnadirの底上げ効果が認められた.3.化学療法により引き起こされる汎血球減少症を阻止, 抑制できる可能性があるかpaclitaxel+CBDCAを用い骨髄抑制ラットを作成し, Granulocyte Colony Stimulating Factor(G-CSF)+TPOを投与することにより血小板減少抑制効果を認めた.また, 顆粒球減少に対しても相乗的効果を認めた.TPOの登場により化学療法の副作用である汎血球減少症がG-CSF+TPOなどの併用により克服される可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2000-09-01