高年齢者の卵巣腫瘍における腹腔鏡下手術の有用性についての検討
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概要
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画像診断により良性卵巣腫瘍と術前診断された高年齢者の卵巣腫瘍25症例に対して, 腹腔鏡下手術あるいは開腹手術を施行し, 両者の比較検討を行った.腹腔鏡下手術13症例および開腹手術12症例の平均年齢は, 各々61.4歳, 67, 5歳, 平均腫瘍最大径は, 各々71.2mm, 106.1mmであり, 腹腔鏡下手術は気腹法(3症例)あるいは吊り上げ法(10症例)を用いて行われた.全手術例において術中迅速病理診断および付属器切除術が行われた.迅速病理診断時間を含む平均手術時間(腹腔鏡下手術:84.4分, 開腹手術:78.3分)は, ほぼ同等で差は認めなかった.一方, 平均出血量(腹腔鏡下手術:13g, 開腹手術:113.3g), 食事開始(腹腔鏡下手術:1.6日目, 開腹手術:3.4日目)および術後平均入院日数(腹腔鏡下手術:6.3日, 開腹手術:20.1日)については, 両者間においていずれも有意の差を認めた.また永久病理組織標本による診断結果では, すべてが良性卵巣腫瘍であった.高年齢者における手術は侵襲が少なく, 術後回復が早いことが重要であると考えるが, この点において術後疼痛が少なく早期離床が可能である腹腔鏡下手衝は有用である.しかし, 高年齢者は若年者に比べ腹壁脂肪厚が厚いことから, 良好な術野を得るためには高い気腹庄が必要となり, 種々の合併症を引き起こしやすくなる, このため, 高年齢者における術野確保には気腹の代わりに腹壁吊り上げ法を用いるほうが, 合併症や麻酔への影響を避ける意味でより安全な方法であると思われた.高年齢者の卵巣腫瘍は悪性の可能性が高いと報告されているが, 衝前の画像診断ならびに術中の迅速病理診断を行い, その摘出には慎重かつ適切な取り扱いをすることにより, 腹腔鏡下手術を高年齢者の良性卵巣腫瘍手術の選択肢のひとつとして念頭におくべきと考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 2000-05-01
著者
-
伊東 宏絵
東京医大
-
伊東 宏絵
東京医科大学産科婦人科学教室
-
井坂 恵一
東京医大
-
井坂 恵一
東京医科大学病院産科婦人科学教室
-
高山 雅臣
東京医科大学産科婦人科学教室
-
井坂 恵一
東京医科大学
-
小川 俊隆
東京医科大学産婦人科
-
保坂 真
東京医科大学産科婦人科学教室
-
小川 俊隆
東京医科大学産科婦人科学講座
-
小川 俊隆
東京医科大学 産婦人科
-
井坂 恵一
東京医大 医 産科婦人科
-
高山 雅臣
Department of Obstetrics and Gynecology, Tokyo Medical University
-
高山 雅臣
東京医科大学
-
伊東 宏絵
東京医科大学 産科婦人科
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