当教室に於ける子宮癌集団検診成績 : 第1報

概要

論文の詳細を見る
我々は子宮癌早期発見のための集団検診を, 出来るだけ多数の所謂健康婦人について行なうことに力を注ぎつゝ, 昭和37年1月以降現在まで, 宮城県内の各町村で子宮癌集団検診を行なって来たが, かなりの検診例数に達したので昭和39年3月までの成績を報告する. 1)集団検診を実施した町村は, 南方村, 涌谷町, 迫町, 色麻村, 大衡村, 志津川町, 登米町, 河南町, 鳴瀬町, 田尻町, 古川市, 七ヶ浜町, 岩沼町の13ヵ町村であり, 20才以上の婦人を対象とした, 対象人口は47,283名で, そのうち受診者数は7,266名, 受診率は15.4%を示した. 2)受診者数数7,266名中, 上皮内癌11例, 扁平上皮癌14例を発見した. 癌発見率は, 0.19%であるが上皮内癌も含めれば, 0.34%となる. 上皮内癌の診断にあたってはあらためて子宮腟部の円錐切除を行ない, 連続切片を作製して検索した. 3)細胞診では, 陰性を示したものが7010例で, 受診者総数の96.5%を占め, 疑陽性すなわちPapanicolaouIII型を示したものが232例で3.2%, IV型を示したものが21例で0.28%, V型を示したものは3例で0.04%であった. 4)PapanicolaouIII型以上のもの全部, 及び陰性であってもポリープのあったもの, 出血性ビランのあったもの, コルポ診で異常所見のあったものなど987例について組織検査を行なった. 細胞診で陰性であったもの731例の組織診では癌は1例も発見されなかった. III型の場合は231例中正常は189例で, 不穏上皮18例, 異型上皮16例, 上皮内癌4例, 扁平上皮癌5例であった. IV型は21例でうち7例は異型上皮, 上皮内癌6例, 扁平上皮癌8例であった. V型は3例でうち異型上皮1例, 上皮内癌1例, 扁平上皮癌1例であった. 5)我々の行なった集団検診では, 細胞診でI, II型のものからは癌は発見されず, 上皮内癌及び癌はすべてIII型以上のものから発見された. 特にIII型以上のものについては充分に注意して精査するように心掛ければ, 集団検診に於けるScreening testとして細胞診は充分な意義を持つものと考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1965-09-01

当教室に於ける子宮癌集団検診成績 : 第1報

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク