正常妊娠絨毛および胞状奇胎のDNA合成能に関する研究
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概要
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正常妊娠絨毛(正常絨毛と略)と胞状奇胎(奇胎と略)のDNA合成の様相をみるため, ^3H-thymidine (^3H-TdRと略)を用いてdipping法によるmicro-autoradiography (micro-ARGと略)により, 胎令により連続的に, また組織部位別にそれぞれ観察し, かつ両者を比較して次の結果をえた. 1. 標識された絨毛細胞は, 正常絨毛, 奇胎ともLanghans細胞(L-細胞と略)のみであり, Syncytium細胞(S-細胞と略)はまつたく標識されなかつた. 2. 正常絨毛におけるDNA合成能を, 妊娠2カ月から胎令別にみれば, 2カ月が最高値を示し, 以後5カ月までほぼ一定の割合で低下することが認められた. 週令別では, 11週および15週において, 低下が他の週に比し大きいことが認められた. また, 妊娠末期においても僅かながらDNA合成を行つている細胞の存在を認めた. 3. 奇胎におけるDNA合成能の胎令別推移は全般的に高く, 正常絨毛に比し約2倍弱であつた. 4. 標本上の組織について云えば, 正常絨毛, 奇胎のいずれも, 多層部(H-部と略)のDNA合成は必ずしも, それに続く組織学的には一見inactiveにみえる部(正常配列部と仮にして, N-部と略)より旺盛とはいえない. 5. 標本上の各組織の比較では, H-部をもつ絨毛のDNA合成は, もたない絨毛のそれより有意に旺盛だが奇胎ではどの嚢胞をとつても, H-部をもつ嚢胞と同様の高い値を示した. 6. 奇胎嚢胞の小なるものは, 大なるものより一般に高いDNA合成を行つている.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-07-01
著者
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