正常子宮体内膜および頚内膜における耐熱性Alkaline Phosphataseの生化学的研究

概要

論文の詳細を見る
子宮体内膜・頚内膜のalkaline phosphatase(ALP)のisoenzyme patternを,熱および各種アミノ酸による阻害試験を併用した生化学的方法により検討し,次の結果を得た.1)体内膜および頚内膜には,ALPが存在したが,肝・腎・骨等身体中に広く存在する組織非特異型ALPが殆どをしめた.2)しかし,体内膜と頚内膜には,ともに耐熱性ALP(HS-ALP)の存在が確認され,各々の総活性のうちHS-ALPの占める割合は,頚内膜(10〜60%)の方が体内膜(6%以下)より高値を示した.3)頚内膜におけるHS-ALPは,L-leucine(L-L)弱感受性のRegan isoenzymeに類似した.体内膜におけるHS-ALPはRegan isoenzymeに類似するものもみられたが,L-L感受性がより強くALP D-variantに類似しているものも存在した.即ち,共にMuller氏管由来組織でありながら,子宮体内膜と頚内膜では,ALPを構成するisoenzymeに量的・質的差のあることが明らかとなった.
1983-06-01