子宮頚癌芽結合織浸潤に関する検討

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子宮頚癌の予後を左右するものは癌の蔓延状況であり, 特に骨盤リンパ節転移及び旁結合織浸潤の有無は重要である.しかし共に術前の確定的な診断は容易でなく, 摘出物の組織学的所見と比較するとover及びunder-diagnosisが少なくない.今回当教室で1964年より1978年の15年間に実施した子宮頚癌広汎全摘例における旁結合織浸潤の実態につき検討した結果, 下記の如き成績を得た.1)旁結合織浸潤の頻度は35.6%(284例中101例に浸潤陽性)で, 進行期が進む程高率である.即ちIb期16.4%(134例中22例), IIa期36.6%(41例中15例), IIb期57.6%(106例中61例).2)臨床診断との一致率72.2%でover-diagnosisは14.1%, under diagnosisは13.7%であつた.3)臨床診断で浸潤(-)とした時の一致率は81.1%と高いが, 浸潤(+)と診断した場合には48.4%と低い.又組織学的に浸潤(-)の場合, 臨床的に80.7%が正診されているが, 浸潤(+)の場合には49.0%しか臨床的に確診しえなかつた.4)旁結合織浸潤(-)例ではリンパ節転移は6.O%に対し, (+)例では51.5%と高率であつた.5)CPL分類ではL型の旁結合繊浸潤頻度は明らかに高い(C型O%, P型17.6%, L型61.8%).6)旁結合織浸潤は所謂hilus uteri附近に多い.7)旁結合織浸潤(-)例の5年治癒率は98.4%に対し, 浸潤(+)例では63.O%で有意に予後不良であつた.以上のような結論を得たが, 進行度の診定方法や旁結合織浸潤陽性例のfollow up形式などについて, 更に研究を積み重ねる必要がある.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-11-01

子宮頚癌芽結合織浸潤に関する検討

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