放射線療法時における頚癌患者の免疫能と原発巣における病理組織学的変化との相関に関する研究
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概要
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子宮頚癌放射線治療過程における宿主の免疫学的応答を検討するために局所的および全身的な両面から,間質反応,所属リンパ節の形態学的観察,及び遅延型皮膚反応,末梢血リンパ球パラメータの検討を行い,次の成績を得た.1)1,000radの試験照射により子宮頚部原発巣にみられる間質反応は遅延型過敏反応に類似する経時的変化を示した.2)間質反応の程度はPPD及びPHA皮膚反応の程度と相関(P<0.05)を示した.間質反応はまた試験照射により増強し,本反応とPPD皮膚反応とはさらに密接な関連(p<0.01)を示した.3)間質反応の程度と末梢血リンパ球幼若化反応及びTリンパ球数との間には相関が認められたかったが所属リンパ節の反応形態とは或る程度関連を認めた.4)間質反応の程度と予後(p<0.01)及び所属リンパ節腫大度と予後(p<0.05)との間に相関を認めた.5)PPD皮膚反応と放射線感受性の間に相関(p<0.05)を認めた.以上の結果より子宮頚癌放射線治療過程における免疫反応の関与が示唆され,間質反応はその形態学的表現のひとつであると思われた.また放射線治療効果の良否を決定する因子の一つとして宿主の免疫能が重要であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-12-01
著者
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