子宮体癌の臨床病理学的検討と治療成績
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概要
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昭和51年10月より昭和59年12月31日までの約8年間に愛媛大学医学部附属病院産婦人科教室で治療した子宮体癌51例について臨床病理学的検討を加え以下の結果を得た.1)症例の年齢は41歳より80歳迄の間に分布し,平均年齢は58.9歳であった.2)閉経後の症例は41例(80.4%)を占め,全症例の平均閉経年齢は49.1歳であった.3)主訴は不正***出血が76.5%を占めた.4)合併症は,肥満37.5%,高血圧症25.0%,不妊既往13.7%,糖尿病9.4%であった.5)臨床進行期はI期:36例(70.6%),II期:7例(13.7%),III期:6例(11.8%),IV期:2例(3.9%)であった.6)手術施行例48例の筋層浸潤の深さは1/3未満のもの20例,41.7%,1/3〜2/3のもの10例,20.8%,2/3以上のもの18例,37.5%であった.7)リンパ筋郭清例40例のうちリンパ節転移陽性例は6例,15%であった.組織分化度の低い例にリンパ節転移が高い傾向を示した.筋層浸潤の深い例では有意にリンパ節転移の頻度が高かった(χ^2=4.816,p<0.05).8)5年生存率は66.7%(14/21)であった.臨床進行期,高年齢は生存率と有意の相関を示したが組織分化度の程度,筋層浸潤の深さ,リンパ節転移の有無と生存率との間には有意の相関は認めなかった.9)治療法別5年生存率は,併用療法および病理組織学的変化の如何に拘わらず準広汎子宮全摘術(リンパ節郭清を含む)例が92.3% と,単純子宮全滴術例,非手術例より有意に高値を示した.以上より子宮体癌の治療成績向上のためには早期発見とリンパ節郭清を伴う準広汎子宮体癌の治療成績向上のために早期発見とリンパ節郭清を伴う準広汎子宮全滴術を適用すべきと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-03-01
著者
-
松浦 俊平
愛媛大学医学部産科婦人科学教室
-
富岡 尚徳
愛媛大学医学部産科婦人科学教室
-
池谷 東彦
愛媛大学医学部産科婦人科
-
猪原 照夫
高松赤十字病院
-
池谷 東彦
愛媛県立医療短期大
-
伊藤 孝徳
愛媛大学医学部産婦人科教室
-
冨岡 尚徳
愛媛大学医学部産婦人科教室
-
帆足 純
愛媛大学医学部産婦人科教室
-
猪原 照夫
愛媛大学医学部産婦人科教室
-
富岡 尚徳
国立病院四国がんセンター
-
松浦 俊平
愛媛大学医学部産婦人科
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